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(三)
思わぬ訪問客のおかげで、私は仕事中動揺してしまい、同僚にも心配された。ともあれ仕事自体は大きなミスなくこなして退勤した。
そしてロッカールームでロッカーの扉を開けた。そこで大きなため息が出た。
伊輔が生まれる前からのそのようなドタバタと、生まれてからの育児のドタバタで、それまで色々な事を考える余裕がなかった。そのおかげで、過去について考えることを忘れることができていた。しかし、カフェのカウンターから彼と彼の奥さん、そしてベビーカーの赤ちゃんのことを目の当たりにして、私は改めて自分の過去に目を向けさせられることになった。
(続く)
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