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上司も編集長も、岳彦の取材と記事を認めた。
記事は編集者に任せるのが常であるが、岳彦は記事内容を自分で書いた。
さすがに割り付けは編集者に任せたが、ライターとして評価された。
益々、秋は深まり師走を迎えようとしている。
翔子と鎌倉の紅葉。
そう思うと胸が弾んだ。
今夜、電話して誘ってみよう!
確か、月の第一週は土日が休日、お礼も言いたい。
岳彦は会社を定時で退社すると、駅前のショッピングモールのアウトドアグッズの専門店に寄った。
トレッキングバッグを買う為である。
翔子の持っていたクーラーポケットを装備したバッグがお目当てである。
さすがにブランド品、ちょっとばかり値ははったが、翔子と紅葉の鎌倉をこのバックを背負って散策すると思うと、自然と笑顔になる。
家に戻ると、夜の9時を待った。
深呼吸を一度すると、スマホへ指を添えて翔子のアドレスを開くとプッシュした。
「もしもし、翔子さん。」
意外と早く翔子の応答があった。
「岳彦さん、もしかして鎌倉の紅葉に誘ってくれるの?」
以心伝心とはこの様な事を言うのだろう。
「翔子さん、天園ハイキングコースから獅子舞の紅葉を見に行きませんか!」
「良いわね!明月院と長寿寺も行って見たいわ!」
「翔子さん。今度の土曜日、空いてますか?行きましょう!新しいバックも買ったので御披露目します。」
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