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鎌倉の紅葉。
それは待ちに待ったふたりの同じ思い。古都鎌倉の憧れの風景である。
岳彦の心は恋という大きなパワーで、全てにポジティブである。
翔子は起床すると、自分で作った朝食を済ませて大泉学園駅へと向かった。
そして、池袋で湘南新宿ラインの逗子行きの電車の先頭車両へ乗り込んだ。
岳彦は横浜から同じ電車の先頭車両へ乗り込んで来る。
北鎌倉で下車するには先頭車両が降りやすく、スムーズに改札を抜けられる。
新宿、渋谷・・・そして新川崎へ、次が横浜である。
少しばかり緊張している自分がいる。
それは岳彦に会う事への喜びなのかもしれない。
車内アナウンスは、次は横浜である事を告げる。
ふっとひと息つくと、翔子はホームに目を配り、岳彦を探した。
「あっ・・・」
翔子は座席から立ち上がると、いちばん前のドアへ向かった。
電車が停車すると岳彦は翔子の存在に気付き、笑顔で軽く手を振った。
ドアがゆっくりと開いた。
「翔子さん、お久しぶりです。」
岳彦の優しい微笑みに、翔子は頬が赤らむのを感じた。
「岳彦さん、こんにちは。」
「絶好の天気ですね!」
そう言うと、岳彦は買ったばかりの自慢のバックを肩から降ろした。
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