想い

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「美濃田店長、店内の案内をお願い致します。」 菅谷の本格的な視察が始まる。 「本社の方と話すのは久しぶりでしたので、ついつい、案内の者を呼びますのでしばらくお待ち下さい。」 「大内おるかい、ワシの部屋へ来る様に言ってや。」 菅谷と翔子は、大内に案内されて店内を巡った。 バーゲン、バーゲン・・・特売である。 どの売場もその文字が踊っている。 関東ならば、タイムセールであるが、関西ではみみっちいケチな売り方はしない。 時間を区切ったら、何ケチっとるんや、このボケになるからだろう。 「鈴木さん、衣料品売場ではセーターを手に取り肌触りやほつれがないのか探していただろう。関西の人は自分で十分に調べてより良い物を買う。だからハンガーに掛けて売るんだ。安くて良い物を探すのが買い物の楽しみなんだ。」 「それは東京でも・・・」 翔子はハンガーに掛けて売るよりボックスに収納して売った方がお洒落で人目を気にせずに良いと提案し、実際にそうする事で比較的若い世代の集客に繋がり売上げを2割伸ばしていた。 「地域によってはその土地に根付いた文化というか習慣みたいなものがあるからね、良く見ておくと良いよ。」 なるほど、翔子は菅谷に教えられた。 大内は食品売り場へとふたりを案内した。 ワゴンいっぱいの缶詰や菓子類、寿司や惣菜なども幾重にも重なっている。 とにかく量が多い。
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