想い

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「富裕層と庶民の融合にこの店舗は成功しているからだ。」 東京でも地方都市でも、百貨店の競争は激しい。 商店街は大阪商人の活気に満ちて、商いの街は繁盛そのものである。 「百貨店対商店街の仁義なき戦いって感じなのかな。」 「菅谷さん、何ですか?仁義なき戦いって?」 翔子はその意味を知っていたが、わざと惚けて菅谷の反応をみた。 「鈴木さん、今夜は山王ホテルへ宿泊。美濃田店長の接待は断っておきました。明日の朝は8時にチェックアウトを済ませてロビーで待ち合わせ、新大阪10時の新幹線で東京へ戻る。ここからは自由行動だ。」 時間はまだ四時を少しばかり回った時間であったが、菅谷はチェックインすると部屋に入った。 翔子はさすがにひとりで道頓堀の夜の街へは怖くて出れないので、ホテル近くのコンビニで飲み物とパスタを買うとチェックインして部屋へ入った。 未成年を飲みに誘う事も出来ないが、食事ならば問題はないのは分かっているが、やはり自分の部下である事にこだわりがあった。 菅谷の奴、出張先で彼女を口説きおとした・・・ それが嫌なのである。 明らかに思い過ごしであると言うよりは菅谷は翔子を好きになってしまったのである。 翔子が好きだと自分に告白するのが当たり前だと菅谷は思っている。 心が狭すぎる。
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