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「私が買って来ます。」
菅谷は頷くと、遼子は小走りで売店の前の自販機へと向かった。
「菅谷さん、どうぞ。」
菅谷はベンチに座ってひと口飲むと、ふーっとため息をついた。
「はい、珈琲代。」
「菅谷さんって力持ちなんですね。」
「あーっ、火事場の馬鹿力ってやつかな。うちにも祖母が居て何かと無理しちゃうから、反射的に手を貸さなきゃってね。」
まだまだ東京までは時間がある。
鴻巣へ向かった朝は、菅谷には全く興味がなく、出来れば車という密室は避けたい気分であり、ひとりで電車で行く提案をしたいと思ったほどだったが、
それが、今は心地良い。
再び車に乗ると、今度は遼子から積極的に菅谷へ話し掛けた。
好きという気持ちがいきなり訪れた事に遼子は驚いた。
同級生のランナーに興味を持ったが、やはり恋ではなかった。
しかし、隣で運転している菅谷に・・・やばい!!嘘でしょう!
遼子の恋である。
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