scapegoat

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するとカノジョが、会話の隙間にするっと「ですね、あいつの方がガキっぽいし」と言った。いかにも知ってますって感じで。俺はギョッとして、兄さんはカノジョの声に反応して、いっしょにカノジョの顔を見た。 「お前も知ってんだ?」 「知ってます。あいつ俺の」 「こいつの同級生なんだって、うん」 カノジョがそれ以上言おうとしたのを、俺が横入りする。カノジョは目を丸くしてたけど、兄さんは気にしたようではない。 「え、マジで? いつの?」 「中学だっけ? ね?」 「へぇ、そりゃすげぇな」 カノジョは何も言わず、俺の横顔を見ている。ちょっと視線が痛い。ちょっとじゃないか、結構痛い気がする。カノジョはそれ以上何も言わず、黙って酒を飲んだ。 向こうのほうがガキっぽいと言われたことに気を良くしたのかホッとしたのか、兄さんもそれ以上話を広げることなく別の話題に移った。 兄さんと酒を飲んだ3時間くらいの間、カノジョは話はするけどちょっとムクれたままだった。 「じゃあな」 兄さんが結婚してから俺らの飲み会は、どれだけ飲もうと兄さんの旦那の奢りになった。今日ももれなくご馳走になって、サラッと解散する。 日付を跨ぐまでまだ時間はある。このまま歩きながらカノジョを家まで送り届けるのが日課だった。 【次回は15日更新です。】
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