scapegoat

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俺は、ファッション誌なんか普段全然読まない。雑誌をそもそも買おうと思わないし。だから一緒に眺めるのもなんだか新鮮だった。 「もう冬物か、まだあったかいじゃん」 「一応暦の上では冬なんじゃなかったっけ?」 「暦と現実違うのにな」 モデルの着ているコートを指差しながらやいのやいの言う。外気はまだなんか生ぬるくて、どうしても冬物眺めるのがピンと来ない。 足首くらいありそうなロング丈のコートが今シーズンの流行りらしくて、みんな似たようなのを着てポーズを取っていた。モデルだから誰でもそうなんだけど、なんかみんなスカしてんなぁって感じ。 俺もカノジョも、流行りものはふーんって眺める程度で、ましてこういう雑誌に載ってるような服はいちいちチェックなんかしない。 「こういうの好きなの?」 まぁ、可愛い顔した細身のカノジョには似合うだろうけど。そう思ったけど、カノジョは首を軽く横に振った。 「いや、全然。俺も買う雑誌間違えたなと思った」 「なんだそりゃ」 相変わらずのほほんとしている。しまいに見飽きたのか、おもむろに雑誌を閉じて起き上がった。 「お茶飲んでくるかな」 そう気だるそうに言って、ベッドから足を下ろす。 カノジョは素っ裸のまま軽く伸びをして、勝手知ったる俺の家のキッチンに向かったのだった。
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