scapegoat

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男は俺らを見て目をまんまるくして、あ、ポスターのじゃん!と言った。 「なんだー、揃ってるならちゃんと写真撮らせてくれたらよかったのに! 間に合わせでこんなのになったよ」 俺の聞きたいことと彼の言っていることの温度差がすごい。 「いや、だからそもそもエントリーされてるのかどうかが知りたいんだって!」 食い下がると、欧米の役者みたいに露骨に肩をすくめて「エントリーしてなかったらここに写真貼らないよ」と言った。 そりゃそうだと思う一方、本当に心当たりがなくて一気に不信感に襲われた。 「副代表の推薦枠だし、貼らないわけがない」 のも束の間、あっという間に不信感の元凶が明かされた。 「え、副代表? って?」 なんとなく心当たりがあって、念を押すように聞いてみる。 「あのー、多分二人の同級生の」 聞いた名前は予想通り、俺らの同級生の男。 そのつもりはないのに、あんぐりと口を開けてしまった。 「マジかあの野郎……」 「マジで何にも聞いてない」 何の気なしにカノジョに目をやると、カノジョも同じように口をあんぐりさせている。 「あ、もうね、辞退はできないってよ。もうお金発生してるから」 野郎はペラペラよく喋る。 「金って何の?」 「このポスターと当日使うタペストリーと衣装と……」 しまいに指折り数えている。
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