scapegoat

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何だかお互い損な性格だよなぁと思いながら、結局それでも二人で乗り越えちゃうんだよなぁ、俺らって。 数日、通りかかるたびにポスターを睨みつけ、迎えた当日。 「思えばさ、当日の流れとかって全然聞かされてなくない?」 副代表の連絡先は知ってたから何回か連絡してたけど、あんまり頻繁に返信も来ないし、学内でも会わないしで、結局何をするとかもよくわかんないまま。 「俺ミスコンすら見たことないんだけど。そういうコンテスト的なのってなにすんのよ?」 「俺に聞く?」 「だって俺男子校だったし」 カノジョは共学だったからそういうの経験ないのかなと思ったら、あるわけないじゃんと一蹴された。 「まぁただ突っ立ってればいいんじゃない? ステージ上で」 「え、そんなもんなの?」 「知らないけどさ、なんかそんなイメージ」 言われてみれば、行きつけ学内カフェと学食の間の広場に、いつのまにか広く立派なステージが出来上がっていた。鉄筋でしっかり組んであって、随分手が込んでるとしげしげ眺めたもんだけど、思えばトークショーもあるんだった。 「なんかすげぇ癪」 あいつの存在を感じるだけで癪にさわる。つい口に出してしまう。カノジョには聞こえなかったみたいで、軽く首を傾げられて終わった。
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