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「エントリーナンバー12番」
俺らが最後。登壇するたびに拍手や歓声が沸き起こる。友達とかサークル仲間とかなのかな。
呼ばれた頃には、せっかくオメカシした服もしわくちゃで髪もボサボサになっていた。
「最悪」
カノジョは髪を整えながら、不満そうに呟いて登壇した。彼氏の俺の方が先に上がった方がいいんじゃないかと思ったけど、カノジョはさっさと舞台に上がってしまう。こういう場に慣れているのはカノジョの方で、全然緊張したような感じじゃない。俺の方が股間がすくみ上がるみたいに緊張している。
最後の最後に登壇した俺たちに注がれたのは、ひと目でハッキリわかるほど強い好奇の目だった。
(えっ)
目に入る限り観客の姿。奥の建物の壁まで人の頭で埋まってる。どの目も、俺らを爪先から頭のてっぺんまで見るような目つきをしていた。そう感じるだけかもしれないけど、多分気のせいじゃない。なんたって同じ壇上に、俺のライバルがいたんだから。
「あれ、もしかして噂の方じゃないですか?」
壇上に6組ずつ前後に並ぶ。一番奥の俺らとは反対側に、奴と司会進行の二人がいる。
「あー、ですね、うん。久しぶり〜」
呑気にこっちに手を振っている。撮影禁止だって言うからスマホ持ってる観客はいないけど、その分視線とざわつきが熱い。
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