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朝です。残念ながら嫌な寝汗と乱れた呼気により、今日も清々しいものにはなりませんでしたけれど。
熱い吐息の塊と共に、零しました。
「……また、あの夢」
そう、夢を見ていたのです。
幼い頃より幾度も繰り返し見た、同じ夢。
それは、睡眠時に決まって見るというものでもなかったのですが、ここ数日は立て続けにこの夢で覚醒を迎えていました。
その意味するところは分かりませんが、あれが何なのかは理解しています。なので、両親にも誰にも相談したことはありません。必要がないからというのも、そうですが……。
「おはよう、真桜ちゃん。今日の朝ご飯はホットサンドよ。好きな具を選んでちょうだいね」
「父さんは、スクランブルエッグとベーコンにしたぞ。母さんの作るスクランブルエッグは、本当に最高だ」
リビングに降りた私を出迎えたのは、のほほんとした中年の男女二人。私の両親です。真桜というのが、今の私の名前。苗字は夜見野。夜見野 真桜。この春から、花の女子高生になりました。
「おはようございます。父、母。それでは、私も父と同じ具にします」
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