第1話 花の女子高生、前世は魔王です。

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 それでも、両親は納得してくれたようです。安堵の笑みを浮かべてから、改めて私の朝食に取り掛かってくれました。耳を切り落とした食パンに具を乗せてホットプレートでサンドしながら、母が上機嫌に訊ねてきます。 「どう? 真桜ちゃん。高校は楽しい?」 「……はい。問題ありません」  ほんの数秒答えに詰まってしまいましたが、幸い二人はその()について特に疑問には思わなかったようです。 「そう、それは良かった。真桜ちゃん、こんなに可愛いんだもの。すぐにクラスの人気者になっちゃうわよね」 「そうだ、真桜はこんなに可愛いんだ。変な男に言い寄られてやしないか? 困った奴が居たら、すぐに父さんに言いなさい。父さんが追い払ってやろう」  熱の入った父の申し出に「大丈夫です。何事もありません」と返しつつ、私はとりあえず内心でホッとしていました。  彼らに話せないのは、実は夢のことだけではないのです。    ◆◇◆  登校後、下駄箱を覗き込んだ私は、早速その異変に気が付きました。   ――上履きがありません。
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