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再録本 書き下ろしサンプル
2022-04-03に発行した同人誌『summer summer!』再録本の書き下ろしサンプルです。
書き下ろしは明視点と、成海が明の部屋に遊びに来た話。
読みやすいようにこちらでは台詞前後に空行を入れています。
「成海くんが俺の部屋にいるなんて、まだ信じられないよ」
「……俺も」
腰を抱き寄せて密着する俺に、耳を赤くしながら成海くんが頷く。いつか実現して欲しかった夢が、今日ひとつ叶っていた。
「さっき思ったんだけど、明、香水変えたか?」
「あ、わかる? 成海くんに持って行ったブランドの新作なんだ。あとで成海くんにも渡すね」
「え、俺にも? さんきゅ」
最近使っているのは、俺がCMに参加させてもらった香水の新作だった。前の物より甘さが強くなったけど、重すぎなくて気に入っている。
密着した成海くんの首筋に顔を持っていくと、鼻から息を吸い込んだ。成海くんの体が硬くなったのを感じて、愛しさで口角が上がる。
「成海くんは今もあの香水つけてくれてるんだね」
「気に入ってるし、もうすぐ使い切るって言ったら明が送ってくれたしな」
「だって成海くんがつけてくれてるの嬉しいんだもん」
そう言いながら、成海くんの頬を手の甲で撫でる。俺の意図を理解したのか、こちらに顔を向けた成海くんは目を閉じた。
まだ照れとぎこちなさの残る動きに惹き付けられるように、唇を塞ぐ。
「ん」
もれた声をひとつもとりこぼしたくなくて、何度も唇を啄みながら彼をソファに押し倒した。
「成海くん……観光は明日でもいい?」
「……あぁ、まぁ、うん」
ダメだと言われたらどうしようかと思ったけど、体に熱を灯したのは俺だけではないらしい。甘ったるい視線に導かれるまま、俺は成海くんのシャツの中に手を侵入させた。
脇腹を腰から上にむかって撫でてから、シャツを捲りあげる。
いまだに体を見られることが恥ずかしいのか、成海くんは視線をさ迷わせた。
「成海くんに触れられる」
「……うん」
脇腹を撫でた手で今度は胸の先端を触る。色付いたソコを執拗に指先で擦った。
「っ、ん」
「声、我慢しなくていいからね」
左を指で弄りながら、右には舌を伸ばす。わざと見せつけるように舐めると、成海くんはさらに顔を赤らめた。
「あっ」
舌先でつつき、舐め、唇で食む。左右同時に刺激を強めると、成海くんからもれる息が荒くなった。
「んっ、明、そこばっか、やだぁ」
しばらく胸だけを弄っていると、身をよじりながら成海くんが首を小さく振る。そのいじらしい反応にまた熱を大きくしながらも、少し意地悪すぎたかと反省した。
「そっか、ごめんね……じゃあ次は、どこがいい?」
「どこ……?」
これも意地悪に入るのだろうか。そんなことを思いながらも俺は成海くんの答えを待つ。成海くんがこの部屋にいることが嬉しすぎて、少し浮かれているのかもしれない。
「どうして欲しい? 教えて、成海くん」
「っ」
耳元で囁くと、気を呑む音がする。本当は今すぐにでもめちゃくちゃに甘やかして気持ち良さに溺れたいのに、成海くんの答えも知りたかった。彼は何て言うんだろう。
迷いを見せていた成海くんだったが、胸に置いていた俺の手を掴みあげる。そしてそろそろと、服の上から主張している腰の中心に持っていった。
「こ、ここも、触って、ほしい……」
「俺に触ってほしいの?」
「うん、触って、明……」
今度はこちらが息を呑む番だった。まるで強請るような声、視線は想像以上のもので、全身が一瞬で熱くなる。
「……わかった。気持ち良くなろうね、成海くん」
「んんっ」
服の上からさわさわと触るだけで、成海くんは体を震わせた。それほど待ち望んだ感覚だったのだろう。蕩けてきた顔を眺めながら、成海くんの服、そして自分の服もソファの下へと落とす。
「んっ……ん、ん」
ちゅっ、ちゅっ、と唇を啄みながら、成海くんの熱に手を這わす。俺が指を動かす度にもれる息が、行為の生々しさを実感させた。
「あ、んっ」
まとわせていた指で先端を刺激する。ゆるゆると扱きながら先端も弄っていると、成海くんは切なげに眉を寄せた。
「あ、あっ……あきっ」
「うん、成海くん、どう? ここ、俺に弄られて気持ち良い?」
「ん、んんっ、きもち、いっ」
「良かった……じゃあ一回イこっか?」
「え? ああっ、あ、っん」
まだ様子を見ながらだった手の動きを速めて、成海くんを絶頂まで誘う。成海くんの気持ち良さそうな顔が大好きな俺は、頬に口付けながら間近で堪能させてもらう。
「あっ、だめっ、だめだって、あきっ」
「どうして? 気持ち良いでしょ?」
「ん、んっ、きもちいいから、だめ……っ、そふぁ、よごしちゃうってっ」
快感に溺れたいだろうに、ソファを汚すことを躊躇って果てるのを我慢している成海くん。真面目な成海くんらしいなと思うと同時に、そんなことを考えられなくなるくらい、どろどろに溶かしたいと思った。
「大丈夫、大丈夫だから、ね? 成海くんは気持ち良いことだけ考えて」
「あ、あぁっ、ほんと、も、むりっ」
「いいよ、そのまま」
「あ、はぁっ、っん、んーっ」
「うん、上手だよ」
激しく動かしていた手を止めて、先端を優しく撫でる。甘やかすような俺の動きに促されたのか、はち切れんばかりだったソレから熱がびゅうっと飛び出た。
「はぁっ、はぁっ……よごしちゃったか?」
「ううん、俺がやったことなんだから、気にしないでよ。俺の方こそ、強引にしてごめんね」
「いや、汚してないなら、いいけど……」
一旦熱が弾け、緩い空気が漂う。いまさっきまで喘ぎ、俺の手で果てたことを思い返したのか、成海くんは気恥しそうに目を逸らした。
「俺はこのままソファでもいいんだけど……広い方がいいだろうし、ベッドに行こっか」
「ん」
ぐったりとした成海くんを抱きかかえ、寝室へと移動する。自分がいつも寝ているベッドに成海くんを降ろすと、俺は急いでコンドームとローションを用意した。
はやる気持ちを押さえ付け、成海くんに覆い被さる。
「信じられないけど、いつも頭の中でしてたことが叶っちゃった」
「え……?」
「俺、何度もここで、成海くんを抱いたんだ。このベッドに成海くんがいることを想像して」
「っ」
初めは俺の言葉がよくわかっていなかった成海くんだったが、驚きをあらわにした顔は徐々に恥ずかしそうに眉を下げる。自分勝手に成海くんを使ったわけだし、嫌な気持ちにさせてしまっただろうかと思ったところで、成海くんは言いにくそうに口を開いた。
「俺も……いや、俺は再会してからだけど、明を想像して、その……抜いてた」
「え?」
聞こえた言葉が信じられなかった。俺たちは想いあっているわけだし、成海くんも俺を想像して気持ち良くなっていたらいいなと思ったことはある。けれどまさか本当にそうしていたなんて。
驚きと嬉しさに浸りながら、俺は成海くんの足を持ち上げ、開かせた。その間に体を滑り込ませる。
「ほんとに? 嬉しい! 成海くんが想像してた俺より上手くできるよう、俺、頑張るね」
「いや、もうすでにさっきので、超えてきてるんだけど……」
成海くんも俺のことが好きなんだと再認識し、喜びが体を熱くする。興奮を抑えきれなくなった俺は、ローションを使い滑りの良くなったソコに熱を押し付けた。
ゆっくりと腰を進めれば、ぐぐぐ、と先端が入っていく。
「ん……明、はいった?」
「うん、成海くんの中、入ったよ」
「あっ、んん」
「どう? わかる?」
「あ、あっ、あついの、きてるっ」
根元まで埋めると、早速腰を動かし始める。奥を狙って抜き差しすると、成海くんはびくっと肩を揺らした。
「っ、成海くんが、俺のベッドで、喘いでる……」
「んんっ、っあ、おく、おくっきてるっ」
できれば長く溺れていたいからスローペースに進めようと思っていたのに、気づけば激しく腰を打ち付けていた。
我慢することができない俺のことを呆れるだろうかと思ったが、成海くんも声をもらしながら俺の体に抱きついてくる。
(後略)
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