インベーダー家族

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 僕が作文を読み終えると、クラスのみんなが拍手喝采を送ってくれた。勿論、先生も教室の後ろにいるお母さんたちも。  でも、この作文の内容は、あの侵略者(インベーダー)からしたら、屈辱そのものの筈だ。  僕は毎朝、朝ごはんをろくに食べていないし、身体だって触られることを避けてきた。 牛乳を飲ませてもらったことだって、一度だってないんだから。  勝ち誇った気でいた僕は、早速侵略者(インベーダー)の恨めしそうな顔を拝んでやることにした。  ──そして、僕が教室の後ろを振り向くと、 『ウッ、ウウッ……』  侵略者(インベーダー)は苦しそうに俯いて涙を流していた。  ズキッと、僕の胸の中を、鋭利なガラスで切り裂かれたかのような痛みが走った。罪悪感が僕の心臓から血液とともに全身を駆け巡っていく。  どうしてなんだろう。僕は侵略者(インベーダー)を懲らしめてやりたかったのに……。どうしてあの宇宙人の悲しげな顔を見て、こんなにも胸が張り裂けてしまいそうになっているんだろう……。  混乱した僕が侵略者(インベーダー)から目を逸らして、教室の外側──廊下に面した窓側──を見た時だった。 「お母──さん?」  お母さんがいた。廊下の方から、僕のことを一心に見つめてくるのは、僕がよく知っている──僕が小さい頃からずっと一緒だった、僕の本当のお母さんだ。  ──でも、お母さんは僕と目が合うと、驚いた顔をして一目散に廊下の向こう側へと消えていってしまった。 「お母さんっ! 待って! 行かないでよっ!」  僕は授業中なのもお構い無しに、廊下へと疾走して、お母さんを追いかけた。
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