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「高郷は本永を助けたんだよ。高郷が見つけて拾ってくれたお陰で、死ななくてすんだんだ」
そう何度も言い聞かせると、彼は僕の瞳を見つめて、小さく微笑んだ。
「うん、そう、だよね。ありがとう、励ましてくれて」
その日から、高郷は僕の目を見つめて話をしてくれるようになった。
でもそれ以外は相変わらず。
僕なら大丈夫なようだけど、人の目を見て会話が出来ない。
蚊が鳴くようなか細い声でムニャムニャと話す。
頭は良いが、運動はからっきし駄目。
そんな内気な高郷のままだ。
今日も彼は不思議な物を見つけ、そして拾う。
「こんな物、見つけたんだけど」
彼のランドセルの中には、摩訶不思議が詰まっている。
END
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