告白

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告白

 私はもう壊れています。頭の歯車のネジが飛んでしまって、動かないのです。毎日、恵美さんの事を考えて眠れないのです。睡眠薬や安定剤を一杯服用しているので、いつもぼんやりしています。  渋谷のスクランブル交差点で裸になりました。そういう事を妄想していたことはありましたが、本当に実行してしまいました。恵美さんへの復讐です。恵美さんは、私を破廉恥な女に育て、ゴミのように捨てたのです。  クリスマスの日の夕暮れだったので、渋谷は人と喧噪にあふれていました。交差点に真ん中で、全裸の上に羽織ったコートを脱いだ時、体中の血が、全部、頭の中に流れ込んでしまうくらい興奮して、周りの景色がぐるぐると回っていました。私の方を見て、指さす人や、何か大声をあげる人、そして、沢山の人の顔と視線。あの視線が私の体に集まっていると考えると、体が震えて、意識が遠くなりました。でも、体は熱く、快感に震えていました。  気づくと、私はパトカーに乗せられて、女性の警察官の介抱を受けていました。警官の言葉が優しい口調でしたが、何の話をしたのか、まったく、覚えていません。しばらくすると、救急車が来て、私は担架に乗せられて、病院に運ばれました。    もう、私の人生は終わってしまったのでしょうね。私の素性は世間に知られて、両親や親類、会社に迷惑がかかっているのでしょうか。  こういった破廉恥な事をしてしまった原因は私の心の問題なのだと思います。私は喋るのが苦手で、陰気で、地味な女なのに、どこか、人から注目されたいとか、認められたいという願望がありました。  小学生のクラスでは全然、目立たず、嫌われないように、みんなと出来るだけ合わせていくことが精一杯で、「あれ、美由紀、そこにいたんだ」って言われるような女の子でした。  だけど、子供の頃から発育がよかったので、中学生くらいになると、胸が目立ってきて、同じクラスの男子がよく私の胸のことで噂をしているのを知りました。休日に、ショートパンツやタンクトップで歩くと、街を歩いていると男性の視線を感じていました。でも、私は、その視線に性的なものを感じて、気持ちよかったのだと思います。  だから、クラスのある男の子と、カラオケに誘われ、ふたりになった時、「私の胸を見たい」って言われたとき、嫌がった振りをしたのですが、本当は男の子の期待に満ちた視線が嬉しかったのです。私は、制服の前ボタンを開け、ブラジャーを上げて、オッパイを見せました。  別に男の子が好きなわけでなく、視線が好きで、付き合い始めました。
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