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「時間かかってますねぇ」
同じバンドメンバーのユリが、
書き損じしまくっているルーズリーフで囲まれている私に向けて言った。
「まあねー。”アキユリ”なら、ユリがいるから
多少変でも直してくれるじゃない?
人様にあげるものってなると、そうはいかないし……」
持っているペンでポリポリと頭を掻いて、
目の前の歌詞になりかけている言葉と睨めっこしつつ、ぽろりと呟く。
自分の曲にはならないけれど、喜んでもらえるように
何回も推敲して書き直した。
そして数日後。
完成した歌詞をタカヒロへ渡した。結構なできあがりと自負している。
ユリにも見せてお墨付きをもらった。
しかし、私が待っていた言葉とは違う言葉が返ってきた。
『サビがどどどど定番すぎて、つまらないっすね。
とりあえず、歌える……かな』
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