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全力で走って、知らぬ土地に出た。
息を整えてから、ユリに電話して、ことの全てをぶつけた。
ユリは、静かに聞いてくれて時々慰めてくれた。
私ひとりだけなら、ここまで感情も昂ぶらなかっただろう。
ユリがいたから。彼女も私が書いた歌詞はいいと言ってくれたから。
それをあのように言われては、ユリの感覚も否定された気がして、
アキユリを否定されたように思ったんだ。
「……ユリ、私もっとうまくなりたい」
「うん」
「たくさんの人に歌、届けたい」
「うん。頑張ろう」
その夜、ユリと会って、愚痴り合って号泣して。
夜空に向かって、歌った。
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