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空で会えたら 2※
あっというまにコンテストの前日がきた。
アイノ先生に頼み鍵を借りてみんなで屋上のアンテナを調整する。
先生も監督と言うことで屋上に手伝いに来てくれた。
南側の校舎のアンテナは小さいのでぼくとコウノ先輩だけで作業をしてる。
北側の校舎にはアンテナが二つあるので、アイノ先生、部長、ヒゲ先輩、タカハシ先輩、そしてナイトウさんが作業をしてる。
「これ、南北に向くように張れたらいいんだけどなぁ」
一緒に南校舎の屋上にいたコウノ先輩がつぶやく。
「なんでですか?」
「日本列島は南北方向の方がカバーできるから」
確かに言われる通りだ。でも校舎の方向は変えられない。これで頑張るしかない。
丘の上にある校舎の更に屋上にいるので眺めがよい。
最寄りの駅まで見通せる。遠くに電波塔も見える。
ぼくが柵によりかかり景色を見まわしているとコウノ先輩がうしろから頭の上にあごを乗せてきた。
「まだまだやることはあるのよ、眺めを楽しむのはまた後でね」
先輩、わざとなのかなぁ。背中に胸が当たってた。図書館で嗅いだいい香りもしていた。
ぼくのどきどきをよそに、先輩方がアンテナを調整し、教室に無線機を置く準備も終わる。
明日からコンテストだ。
◆◆◆
僕らが参加するのは三つの周波数帯。
24時間耐久なのでオペレーターはそれぞれ2人が交代で担当する。
部員の多い高校ではオペレーターは三交代で担当するし、参加する周波数帯ももっと多いらしい。
「まぁ、正式な部活動としてみてめてもらえてるだけありがたいよね」
たしかにこの部員数で高価なHF帯の無線機を買ってもらえるのはありがたいことかも。
部長はタカハシ先輩と、アイノ先生はヒゲ先輩と、そして僕はコウノ先輩とペアだ。
ナイトウさんはまだ免許がないので昼間だけ。朝に来るそうだ。
女子が夜中に学校に居ても大丈夫か心配したけど風紀担当のアイノ先生がいるから大丈夫だそうだ。
◆◆◆
JJYで時計を合わせる。
よし、時間だ。
「CQコンテスト…」
コウノ先輩がコールするとあっという間にパイルになる。
先輩はその中から順番にさばいていく。
隣で僕はログを取る。
コウノ先輩もログを取っているけど取りこぼしがないように確認するのと、ぼくがオペレーターの時の練習も兼ねてる。
あっという間に1時間がたった。
上々の滑り出しだ。
ぼくが交代すると途端にパイルの人数が減る。
隣でログの控えを取っているコウノ先輩が苦笑いをしていた。
こういう時は女子は強いな。
それでも高校生だと知ると相手は応援してくれる。
他の地方の高校のクラブとも交信できるのはうれしい。
「QSLカードは連盟経由で」
カードの交換の約束もした。
時々海外からのコールが入るけど今日はあきらめる。
幸いにも珍しい地域からのコールはなかったけど、そういう時はどうすればいいのだろう?
「別に交信すればいいよ」
提出するログから外せば問題ないそうだ。
夜半過ぎになると波を出している人が減ってくる。コールを聞くと前に交信した人ばかりになった。
「そろそろ休もう」
時計をみたコウノ先輩が教室の電気を消す。
目覚ましをセットしている僕に背中から抱き着いてきた。
コウノ先輩、スレンダーだけど着やせするのかな。胸がむにゅと当たる。
「あ、あの、先輩は別な部屋で寝るのでは?」
ぼくが慌てていると、
「うーん、それなんだけどねぇ、あっちには行けそうもないと思う。ちょっとおいで」
と廊下に連れ出された。
廊下も電気が消えて真っ暗だった。
「これ使うとよく見えるから」
コウノ先輩がアンテナの確認用に用意した双眼鏡を渡してくる。
アイノ先生とヒゲ先輩が居るはずの教室は電気が消えて暗かった。
でも月明りが差し込み中の様子が見えている。
双眼鏡を除いたぼくは息を飲んだ。
教室の中で裸のアイノ先生が立っている。
ヒゲ先輩の頭がアイノ先生のお腹のあたりに見える。
アイノ先生が首を振りその頭を抱え込むようにしている。
「あれって、、」
「アイノ先生の趣味よ。風紀担当のクセに生徒に手を出すの」
コウノ先輩が吐き捨てるように言った。
「もしかしてコウノ先輩、ヒゲ先輩が」
「違うわよ。女子部屋の鍵はアイノ先生がもってるの。だから、、、わかるでしょ」
たしかにセックスしているアイノ先生から鍵を借りてくるのは無理だ。
それにしてもアイノ先生、何も考えてないのか、それともヒゲ先輩が我慢できなかったのか。
正面を見てぼくはぎょっとした。
ガラス窓にべったりと張り付くようにしている裸のタカハシ先輩が見えた。
豊かなおっぱいはつぶれている。
後ろから部長が動いているのだろう。
体が上下に揺れガラスの上を胸がすべる。
となりでコウノ先輩が息をのむのがわかる。
「あれじゃぁ丸見えじゃない、まぁ、見る人はいないか」
冷静なようで声が上ずっている。
ぼくは思わず双眼鏡をそちらに向けるとコウノ先輩が止める。
「それはやめて。でもほんと見せつけるんだから」
コウノ先輩もそちらから目が離せないようだ。ぼくが手を握ると先輩の手は汗でびっしょりだった。
先輩も興奮しているんだ。
「も、、もういいでしょ、私は隣の部屋で寝るから、ヤマナシ君はこっちの部屋で」
ぼくはコウノ先輩の手をつかんだまま教室に戻る。
教室に入るとコウノ先輩を抱きしめキスをした。最初嫌がっていたけれど強引にしたら受け入れてくれた。
ぼくが先輩のシャツをめくると先輩は抵抗した。
「だ、、だめ、、あの、あなたとは恋人でもないの、だから、やめて」
ぼくは黙ってそのまま先輩を押し倒す。
シャツをまくり上げるとピンクのかわいいブラジャーが見えた。
背中に手をまわすとホックが見つからない。
慌てて力任せにずらそうとしたら、痛いのだろう、先輩が暴れる。
そのショックで前のホックが外れたようだ。
ブラジャーの下から小さすぎず大きすぎず白くて形の良いおっぱいが目の前に現われる。
ぼくは宝石の様なピンクの突起にむしゃぶりついた。
そのころになると先輩も抵抗を止め息も荒くなる。
「はぁ・・・はぁ・・・もう……やめて」
それでも言葉で抗う。
ぼくはズボンとパンツに手をかけ無理矢理脱がそうとする。
「いやっ!・・・そこだめぇ!・・・そこは・・・!」
少しおとなしくなっていた先輩がまた暴れだす。
顔を見ると涙でぐしゃぐしゃだ。
ぼくは何をしているんだろう。大好きな先輩になにを。
ぼくはズボンから手を離しコウノ先輩から少し離れた。
彼女はのろのろと服を整える。
しゃくりあげながら言う。
「ひどいよ、、、」
「ごめんなさい、、、ごめん」
気まずい。勢いに任せて襲ってしまったけど、これはだめってのはわかる。
しばらく気まずい時間が続く。
永遠に続くかと思った沈黙はコウノ先輩の声で破られる。
「なにか、、何か言うことがあるでしょう」
「ごめんなさい、ひどいことしました」
「それもだけど、、、もっと、、、」
「ぼくの感情に任せて先輩にひどいことしました。ゆるして、、」
「違うの、、、ええぃ、もう、、、、あなた、私の事どう思ってるの?単なる先輩?それとも、、、あああもう、、ここまで、、ここまで言わせるの、、はずかしい」
何が言いたいのだろう。
先輩がこちらを向いて何か思いつめたような表情をしている。
やがて意を決したように言う。
「わたしは、君が、好きです。だから、そういうことされるの覚悟はしています。でも、あなたが私をどう思ってるのか知りたい。知らないままされるのは、いや」
そうだよ、ぼくは気持ちをまだちゃんと伝えてない。そして先輩の気持ちも聞いてなかった。
「ぼく、、も、先輩、、コウノトモコさんが好きです。お付き合いしてください」
「喜んで」
はぁ、順番が逆だったな。それもこれもアイノ先生とタカハシ先輩のせいだ。
コウノ先輩がちらちらとこちらを見ている。今度は、間違いないよね。
ぼくは近寄り、肩を抱きしめて先輩とキスをした。
涙の味もしてちょっとしょっぱかった。
「それで、、まだしたい?」
「トモコさんは、まだ心構え、できてないですよね」
「ごめん、、、」
「待ちますから。でも、キスはさせてください」
「恥ずかしいこと言うね、君は、、、ってトモコさん?」
「恋人なので名前で」
「キャー、、、キャーーー、恥ずかしいからみんなの前では絶対に言わないでね」
真っ赤になった顔を布団に押し付けて悶えている。
ぼくはその隣に横になるととコウノ先輩が背中から抱き着いてきた。
「まだ、起きてますか?」
「うん、なに?」
「先輩、よく後ろから抱き着いてきますけど、おっぱいが背中に当たって、ちょっと、、、それってわざとでは、、」
「キャー、、、そうなんだ、、、気にしてなかった。あぁ、そうか、私が煽ってたのね。それなのにごめん。気を付けるね。もうしない」
「それは、、、残念です」
「エッチ、、、もう寝よう。夜が明けたらまた稼がないと」
先輩はそのままくっついていつの間にか寝息を立ててた。
ぼくは寝れないかと思ったけど案外簡単に眠りに落ちた。
◆◆◆
目覚ましが鳴ってすぐにタカハシ先輩が呼びに来た。
二人が同じ部屋にいるのを見てにやにやしている。
コウノ先輩が冷たく言う。
「してないから」
「なんのことかなぁ~」
「だから、あんたたちみたいに盛ってセックスしてないから」
「あー、ともちゃんがいじめる、ヤマナシ君助けて」
「ぼくはコウノ先輩の味方なので、、」
「ちぇー。ご飯の準備するから手伝って。北校舎の3-Cに来てね」
教室に行くとナイトウさんが家からおむすびを持ってきてくれていた。
ヒゲ先輩が山用のコンロでお湯を沸かしてコーヒーとお茶を淹れてくれる。
ご飯をお腹に入れてぼくとコウノ先輩は南校舎に戻って交信を再開した。
ナイトウさんがついて来た。教室の様子をみてちょっと顔を顰めたけど何も言わなかった。
コンテストの時間は夜まであるけどぼくらは明日も授業があるので6時で終わり。無線機やら布団やらを教室から部室や宿直室に持っていき机をきちんと並べて終了。
女性陣は先生が連れて先に帰り、男性陣はラーメン屋に寄ってから帰った。いつもは来ないヒゲ先輩が来たのは意外だった。相変わらずしゃべらないけど。
◆◆◆
コンテストの結果が出た。ぼくたちは高校のクラブではまぁ上の方かなってくらいだった。
「去年よりいい成績だね」
今年中にぼくも二アマ取って来年は100W出せるようにしよう。今年は10Wしか出せなかったから聞こえるのに応答してもらえないことが何度もあった。
ヒゲ先輩は相変わらず一人でマイコンに向かっている。
何をしているのかわかったのは秋になってからだった。
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