かたちのないあした

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 私は姉という立ち場であり、弟がいる。  姉である私はすべてにおいて弟よりも勝っていた。  それなのに――。  私の生活感の満足度、その度合いは弟より劣って見えた。  だって、優秀だからこそやらなければいけないことが頭の中に山積みの私と違って、弟はいつも余裕を見せて生きているからだ。  別に弟が怠けているわけではない。私の弟だけあって彼もそこそこ優秀だ。  それなのに――それなのに――。  弟は私と違って「要領」のいい生き方をしているのだ。  なぜ、あいつにはそんな生き方ができる――?  その謎を解明するため、私は弟の部屋に忍び込んだ。
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