プロローグ

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プロローグ

 「俺はずっと…隣にいて、花音(かの)を守りたかった。 可哀想とか、償いとかそういう簡単な感情だけじゃなくて、お前の側にいられるのは俺だけだと思ってた!」 私に馬乗りになった彼は苦しそうに言った。 瞳が揺れている。 「俺を好きじゃなくても良かった。 好きになれなんて言うつもりもなかった! でも……あいつだけは嫌だ!!」 静かな怒りを含んだ声が耳に響く。 ううん、怒りじゃなくてこれは悲しみ。 こんな顔をさせたかった訳じゃない。 誰よりも優しくて大切で、守りたかった人を傷つけたのは私だ。 「……ごめ…なさ…い」 「あいつだけには渡さない! 渡すくらいなら、啓の所へ連れてってやるよ!」
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