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四.定点へ
通称『定点』
死の町と化した故郷に降りたって3日目の朝。
立道はようやくここにきて現場近くに足を運ぶ決心をした。
定点とは鬼門岳の山全体が見渡せるポイント。
いうなれば、このポイントこそが臨場感のある噴火の画像が撮れる。
取材陣がそこをめがけて移動しているのは、同業の情報網から分かっていた。
更に言えばその定点から先に行けば命の保証はないという危険と隣り合わせの境目の場所。
命知らずの記者はこぞってその場所を目指す。
ある程度、この2日間で被災者の声を聞くことに尽力をつくしたつもりだった。
しかし、被災者の憤怒した眼光で全て跳ね返される。
自分の存在が、真っ向から否定されたようで、地団駄を踏んだ。
更には、町中を駆け巡り、鬼門岳に走るサイレンの音が、
その怒りをより一層強くした。
片や、あいつは人命を守るため、群衆からあがめられ日夜奔走している。
それにくらべて自分は……。
いら立つ気分でアクセルを強く踏み込む。
そして今では山道かどうかさえ分からなくなった、灰の道を飛ばした。
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