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自分は「クソ」が付くほど真面目人間だった。
こう言うのは、自ら言わない方が良いのかもしれないが、本当に自他共に認める「クソ真面目」。
堅苦しいとか、ガリ勉とか、まぁそこまでは行かないけど、言われた事は卒無く熟し、言われる前に済ませた方が良いことは迅速に終わらせたい派。
人間関係も当たり障りなく、極めて浅く、深追いもせず。
ある程度の壁を作って自己防衛も固め、敵を作らないように最低限の振る舞いを心掛けていた。
加えて、迷惑をかけないように、でも誰の揚げ足も取らないように最大限配慮もする。
そうやって、学校でも、仕事でも、先生や上司の期待に応えようと、無難且つ常に全身全霊で取り組んで来た。
それなのに……。
朝目が覚めて顔洗って、着替えて化粧して、眠気眼を浮かべながら玄関を出る。
そんな惰性が続くはずだったのに。
その日は何故か、目が覚めなかった。
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