運命を塗り替える

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 そんな昔抱えていた想いを思い出し、少女はまだ目の前で少女の本をパラパラと興味なさげにめくっているニコルを睨んだ。 「……ほんと何の用よ。用事があるんでしょ? 早く用件いいなさいよ」 「別に? ただあんたと話したいなって」 「そう。はい、話したわよ。早く帰って」 「そんなこと言うなって。それとも、俺がいると集中できない?」 「あなた無駄に目立つもの。遠回しに言うと、存在が邪魔と言うか……」 「全く遠回しに言えてないから」  ニコルは「傷つくなぁ」と言いながら溜息をついて取っていた本を机に置いた。それをつかさず少女は奪い返し、そのまま本を広げて勉強の続きをした。  あの恋心を冷めてから、少女はこうしてニコルに冷たくあたっている。ちょっとでも優しくされるとすぐにまたあの恋心が戻ってきそうだからだ。この十六年、恋とは無縁に生きてきたのだ。その少女にとって目の前にいる美男子ことニコルはとても心臓に悪い。何せ顔はいいのだ。さすが『攻略対象』なだけある。  そんなことを頭の隅で考えながらも勉強を進めていく。勉強にさえ集中できれば、目の前の男の存在など忘れるだろう。
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