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「それにしても、在花はどうして教えてくれなかったのよ。遠坂くんが隣の部屋にいるとかうらやましすぎるんだけど」
由梨はパフェで糖分補給したことで元気を取り戻したらしく、そんなことを言って不満そうに口を尖らせた。
「由梨に言ったら、絶対に毎日うちに来るって言うだろうなって思ったから」
「ええっ何それ⁉まあ確かに?それは図星ですけども?」
「あはは、やっぱりね」
私はそう言って笑ってみせながらも、実は胸の辺りがもやもやしていた。
由梨がこういう反応をすることが予想できて、面倒くさそうだなと思ったのは事実。
だけど、どうもそれだけじゃない気がする。
どうしてかはわからないけど……何となく遠坂くんのことは秘密にしておきたいなと思っていたみたいだ。
由梨が遠坂くんのことを好きなのは知っているんだから、本当は友達として協力するべきなのに。
もやもやとした気持ちが広がっていくと同時に、さっきまで美味しいと思っていたパフェの味をどんどん感じなくなっていった。
「……か?ねえ、在花ってば!」
もやもやの原因を考えながら、スプーンでパフェをすくって口へ運ぶという動きをぼんやりと繰り返していた私は、由梨が先ほどから何度も話しかけていたことに気付かなかった。
顔を上げると、由梨が心配そうに私を見ていた。
「大丈夫?ちょっと顔色悪くない?」
「……へ?い、いやいや全然!めちゃくちゃ元気!」
「そう?なら良いけど」
「うん、元気元気。えっとごめん、ぼーっとして聞いてなかったけど、由梨さっき何か言ってたよね」
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