隣のクラスの王子と作りすぎた肉じゃが

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だって顔が良い人って少し気後れしてしまう。何だか怖そうというか。 「でも本当に遠坂くんって謎が多いのよね。」 「謎?」 「うん。運動神経良いのに部活は何もしてなくて放課後すぐ帰っちゃうし、体弱いわけでもないのにちょくちょく学校休んでるし。……まあ、勉強できるから先生たちもあんまとやかく言わないみたいだけど」 「ただ学校にいるのがそんなに好きじゃないんじゃない?謎ってほどでも」 「まあそれはそうかもしれないけどさ。他にも……」 「あっ!」 私は由梨の話を遮るように声を上げた。 というのも、話を聞きながらスマホをいじっていたら、見逃せない情報が目に飛び込んできたのだ。 「どした?」 「見て!今日駅前のスーパーでじゃがいもが一個15円だって!」 私が愛用しているチラシを見られるアプリ。 そこに表示されている近所のスーパーのチラシを由梨に見せる。 「相変わらず主婦ってるなー在花は」 「主婦ってるって……。というかただの一人暮らしだし」 「あはは。でも何か在花は一人暮らしの女子高生っていうよりは主婦っぽいんだよなあ」 「もう。馬鹿にするなら今度由梨が『お弁当忘れてきた~。金欠で学食で買えないのに~』って言っても私のお弁当分けてあげない」 「ごめんって」 少し怒ってみせれば由梨は素直に謝ってきた。 私は由梨以外からも、よく主婦っぽいだとか何とか言われる。 まあ原因は……隣のクラスのイケメンより安くなっている野菜に気を取られている時点で何となくわかってもらえるだろうか。
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