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私たちは適当な店を眺めるふりをしながら、遠坂くんたちと距離を詰めていく。
二人はずいぶんと親しげで、女性の方が遠坂くんの腕にしがみついたりしている。もちろんそれを見た瞬間の由梨は鬼のような形相だった。
「ぐぐぐ……もうちょっと近くで見たい。というか顔を確認したい!」
「もうちょっと近付いても大丈夫じゃない?あ、本屋さんの方に入っていったみたい」
「よし、わたしたちも行ってみよう」
遠坂くんたちが本を選び始めたところで、ようやく相手の女性の顔が見えた。
染めた形跡はない綺麗な黒髪をサイドアップにしていて、服はどこかで見た気がする流行りの色のワンピース。
メイクはわりとしっかりめにされているようだけど、それを差し引いてもかなりの美女だった。
由梨も本を立ち読みするふりをしながら女性のことをじっと観察する。
「うちの高校の生徒ではなさそうね。たぶん年上……。悔しいけど若手女優って言われても納得できるぐらいの美人ね」
「そうだね……。あ、でも由梨も負けないぐらい美人だよ!」
「今そういうの良いから……。うぅ、どう見てもカップル……。いや、でもこういう場合って、アニメとかだとだいたいお姉ちゃんっていうオチだし……もしかしたら……」
「うーん、それはないんじゃあ……」
「何でよ?残念ながらファンクラブの情報でも家族構成まではわかってないから、姉がいる可能性だって十分あるわよ」
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