隣のクラスの王子と作りすぎた肉じゃが

3/13
前へ
/158ページ
次へ
別に皆みたいに、いわゆる女子高生らしいもの普通に好きなんだけど。 ただ、おしゃれな洋服とかよりは料理に使えるスパイスなんかの方に惹かれるのも確かなのだ。 ○●○ 「あーあ、完全に作りすぎちゃったなあ、これは」 学校の帰りに例のスーパーに寄った私は、一つ15円のじゃがいもは無事に手に入れることができた。 ただ……さすがに十個は買いすぎだったな。 一人暮らしをするアパートに帰って肉じゃがを作ってみたけど、出来上がってみればこれまた量が多い。とても一人で消費しきれる気がしない。 冷凍保存しておくのもありだけど、やっぱり出来立てが一番美味しいんだよね。 「せっかくだしレナさんにおすそ分けしようかな」 私はそう呟いて、戸棚から一回り小さな片手鍋を取り出した。 レナさんとは私の隣の部屋の住人で、本名は佐藤礼菜(れいな)さん。 私と同じように一人暮らしをしている女子大生で、大学に通いながら、そこそこ有名な漫画雑誌で連載している少女漫画家さんだ。 ペンネームが「サトウレナ」だから私も「レナさん」と呼んでいる。 これまでも作った料理をレナさんに何度かおすそ分けした。 持っていくたびに喜んで食べてくれるから、私としても作りがいがある。 私は片手鍋に移した肉じゃがをもう一度温め、自分の部屋を出た。 ……あ、先に連絡しておいた方が良かったかな?でも渡すだけだし別に大丈夫だよね。 レナさんは漫画を描くため、大学は講義さえ終わればさっさと帰ってきているらしく、私が学校から帰ってきたときには大抵部屋にいる。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

652人が本棚に入れています
本棚に追加