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「ありかー!ご飯食べよ!ん?在花の隣、杉野なんだ。杉野、わたし在花とご飯食べるから邪魔。どいて」
「おいおい、ひっでえな藤田。ここオレの席」
「貸してくださーい」
「嫌でーす。オレも今日はここで食うから。前の席の椅子つかってないだろ。それ使えよ」
「ええ……在花と二人でガールズトークの予定だったのに」
「良いじゃん。オレも小野山さんと話したい」
傍から聞いていても仲の良さがうかがえる二人のやり取りに、ほっこりして思わず笑みがこぼれる。
「由梨と杉野くんは、このクラスになる前から知り合いだったの?」
「中学が一緒でね。しかも三年間同じクラスだったの。高校も一緒だけど去年はやっと離れたと思ったのに、また今年一緒なんだもんね」
「腐れ縁だよな」
それ、運命じゃない?……なんて思ったけど、これ言ったらたぶん由梨に怒られるな。
わたしが好きなのは遠坂くんなんだから変なこと言わないで!とか何とか。
「小野山さんはいつも藤田と一緒にいて疲れないの?」
「ちょっと!在花は優しい優しいわたしの親友だからそんなこと思わないわよ!」
「てか小野山さん下の名前“ありか”なのか。可愛いな。オレも名前で呼んで良い?」
「馴れ馴れしいわね、だめに決まってるでしょ」
「藤田には聞いてないから」
杉野くんは由梨にそう言ってから、改めて私に目を向けて、「名前で呼んで良い?」と聞いてくる。
すごい。友達が多い人ってこうやって一瞬で距離を詰めてくるんだ。
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