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「あ、私のことは好きに呼んで大丈夫だよ」
「よっしゃ。じゃあ在花ちゃんって呼ぼう」
私が名前呼びを許可したら、すかさず由梨が杉野くんをにらむ。
「杉野、あんたまさか在花のこと狙ってるんじゃないでしょうね」
「ノーコメント」
「はあ?やめてよ在花をけがさないでよね」
「けがすって何だよ」
本当に仲良いなあ。
私はお弁当を食べながら二人のやり取りを黙って聞く。
そっか、中学の三年間一緒だったんだ。私と由梨は出会ったの去年だもんな。
どことなく寂しさを感じていると、それを見越したかのように杉野くんが私に話を振る。
「そういえばオレと在花ちゃんは委員会一緒だったよな。体育祭実行委員。体育祭まで一か月ちょっとだし、そろそろ仕事増えてくるかもな」
「そっか、もうそんな時期か。あー……確かじゃんけんに負けて実行委員になっちゃったんだよね……保健委員とかもうちょっと地味なの目指してたんだけど」
勝手なイメージだけど、体育祭とか文化祭の実行委員って、もっとこう、キラキラ青春を謳歌してるような人たちがやってくれるものだと思ってた。
だけど残念ながらこのクラスのキラキラした人たちは、同時に面倒くさがりだったようで、仕事の多い実行委員はやりたがらなかった。
「はは、憂鬱そうだな在花ちゃん。でもオレは在花ちゃんと一緒に実行委員できて嬉しいけどな」
「私も杉野くんと一緒で良かった……頼りにしてます……」
もう本当、しばらくは杉野くんのお世話になりっぱなしになる予感しかしない。
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