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ほかほか湯気を立てるロールキャベツ。
迷ったけど、味付けはコンソメにした。
ロールキャベツは煮るときなんかに結構崩れやすくて難しい。今日は上手くいってよかった。
「遠坂くんと二人でご飯食べるのって、何だかんだ初めてだね」
私は持ってきたロールキャベツをお皿に盛り付けながら言う。
基本的にはいつもレナさんが一緒だし、この前なんかは作ったお菓子を渡しに来た由梨まで成り行きで一緒に食卓を囲むなんてこともあった。
ちなみに由梨はあの日以来、ちょくちょく遠坂くんに渡すためのお菓子を作りに来ている。遠坂くんも一言二言であれば、睨まずに由梨と話ができるようになっていた。
「あ、小野山さん。姉さんが作業机の上に置いてある漫画読んでいいって」
「本当?やった、後でゆっくり読ませてもらおう」
全国のサトウレナ先生ファンの皆さん、私だけこんな贅沢ごめんなさい。
わくわくしてつい作業机の方を気にしてしまう。
遠坂くんはそんな私に不思議そうに首をかしげる。
「小野山さん、そんなに姉さんの漫画好きなの?」
「うん、大好き。レナさんの漫画は優しい気持ちになれるから」
私は、あまりドキドキハラハラするような漫画は好きじゃない。
たぶん、こんな読み方をしていると知られたら色々な人に怒られるかな……と思うんだけど、少年漫画なんかは、登場人物の誰が死ぬかとか裏切るかとかのネタバレを確認してからじゃないと怖くて読めない。
少女漫画もそうだ。友達として優しい態度でヒロインに近付いてきた女の子が裏切って敵になったりしたら、ショックでもうそれ以降が読めなくなる。
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