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隣のクラスの王子と作りすぎた肉じゃが
○●○
隣のクラスの遠坂くんは、私から見ても相当かっこいいけど、とても物静かな人だ。
気安く話しかけようものなら、クラスメイトであれ冷たい目で睨まれてしまう。
これまでたくさんの女子が彼に夢中になり、そして泣いた。どんなに可愛い子でも必ず玉砕しているのだ。
とことんクール……というか冷たいらしい。
でも、友だちの由梨に言わせれば、「その冷たいところが良い」そうだ。
「あー、もうどうしたら在花にも遠坂くんの良さが伝わるかなぁ」
「だから私もかっこいいと思うよ、遠坂くん」
昼休み。お弁当を食べながら、今日も由梨は遠坂くんについて語っていた。
由梨が毎日のように語るものだから、遠坂くんと話したことなんてないのに、だいぶ彼について詳しくなってしまった気がする。
「全っ然熱がこもってないのよ!……じゃあ在花、うちのクラスの杉野はどう思う?かっこいい?」
「杉野くん?」
由梨に言われて、私は教室の真ん中で集まってしゃべっている男子たちの一人に目を向ける。
「うん。かっこいいと思うよ?」
「……で、遠坂くんは?」
「かっこいいと思う」
「ほら、遠坂くんと杉野を同じテンションの『かっこいい』で語ってるでしょ!遠坂くんは国宝級のイケメンよ!?うちの高校が誇る王子よ!?あんなサッカー小僧と一緒に扱うのなんて在花ぐらいだから!」
「え、えっと、ごめんね……?」
私は由梨の勢いに押されて思わず謝ってしまった。
だけど、「うちの高校が誇る王子」たる遠坂くんに対して、由梨ほど興味を持てないことも事実なわけで。
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