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私には9歳になる4つ下の弟がいます。
名前は橋本 隆志(はしもと たかし)
弟は父の顔を知りません。
父は弟が生まれた年に交通事後で他界しています。
私と母は辛いながらも頑張っていますが、「父親」という存在をまったく知らない弟からはよく胸が締め付けられる質問をされます。
それは弟が幼稚園で「お父さんの似顔絵を描きましょう。」と言われた日の事です。
その日、弟は今にも泣きだしそうな顔で…
「お父さんってなに?」
と聞いてきました。
私は突然の問い掛けに言葉を無くしました。
周りの子供達はスラスラ描きはじめているのに、自分はお題の意味すら解らない。
とても辛かったのだど思います。
しばらく考えましたが5才の子に「父親」というものをどう教えればいいのでしょうか?
そもそも「父親」という存在を言葉で表現出来るのでしょうか?
私は改めて父親のいない淋しさと、弟の無垢で切ない質問で今まで溜めていたものがいっきに壊れたように泣き出してしまいました。
私は知らない…
「父親」という存在を…
私は知らない…
「父親」という温かさを…
私は知らない…
「父親」という家族を…
そして弟の辛さを…
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