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エリザ白昼夢
雨あがりの校庭を、キミと走っていた。
ずぶぬれの体は冷たく、でも、繋いだ手と手はびっくりするくらいあたたかい。
裸足で泥の中を走り、制服が汚れていく。
かまわない。
私のかわりに汚れてくれる。
いつか汚れなんかかまわず、自分が汚れたことにも気づかず、なりふりかまわず何かしなきゃいけない時が来る。
そんな未来を肩代わりしてくれるみたいに、制服は汚れてゆく。
虹がでた。
雨雲が去る空に青い空に、虹が。
未来へと至る希望の橋が、七色にまぶしく輝いてる。
「綺麗」
「だな」
ふたり唇からもれた声が、雨あがりの空に少しだけ響いて消えた。
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