コンピュータ研修

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コンピュータ研修

 夏休みに入った。  あの飲み会からすぐの休み明けに、泉は二次会にいた先生みんなに謝った。    謝る泉にどの先生も笑いながら「紫原先生にはちゃんとお礼を言った?また迷惑かけたんでしょ。」と言われた。彩也香にも佑哉にもだ。  しかし泉は肝心の直樹には何も言えないでいた。  私、酔っ払っていて意識がなかったからって紫原先生にとんでもないことしちゃった。 よりにもよって彼女さんがいる人を抱き枕にするなんて…  彼女さんが知ったらショックなんてものじゃないよね。  どうしよう。ごめんなさいでは済まないよね。何て言えば許してもらえるだろう。  夏休みに入ったとはいえ学校は水泳出校日があったり、保護者との希望制の個人懇談会があったり、勿論部活の指導もあったりで忙しい。部活もバスケと野球では夏休みに活動する時間が違う日も多い。  だから直樹と個人的に話す機会はそんなにはなかった。それをいいことに泉は意識的に直樹を避けてしまっていた。  このままではいけないとは思いながら…。  もんもんとしながら七月が過ぎ去ってしまった。  八月になった。 入ってすぐ泉は研修を受けていた。コンピュータ研修だ。  研修場所は学校とは違う場所にある。  泉は会場に入って受付に貼ってある名簿に丸を付けようとした。 「あっ」  思わず声が漏れてしまった。  泉のすぐ下に直樹の名前があった。  席は指定されていてそこへ向かうと、  !  直樹が泉の隣の席に座っていた。
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