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お店の前で
二次会が終わった。運動会で朝早くから動き回っていたからか、若いとはいえ皆疲れていた。戸田が店の中で寝てしまったので、いつもの二次会より早めにお開きになった。
理沙が戸田を起こして店の外に全員出た。
宮園が泉と直樹を見て、
「今からお前ら、俺らと別れたらイチャつくんだろ。」とニヤニヤしながら軽口を叩いた。
すると直樹が、
「…ご想像にお任せしますよ。」と言って皆が見てる前で泉の肩に腕を回し、自分の方に抱き寄せた。
!?
泉は思わず直樹の方を見た。直樹は完全に二人でいる時の甘い笑顔になっていて、「な、泉」と言って肩に回した手で泉の頭を撫でた。
「な、直樹くん…」泉は真っ赤になって呟いた後、ハッとなって皆の方を向いた。
宮園、理沙、彩也香は赤い顔でこっちを見ていた。
「…お前……誰?…ホントに紫原か?」宮園は、赤い顔のまま直樹の方を見て呟いた。
「…中山先輩、この二人ビジュアル的に破壊力抜群ですね…リアル恋愛ドラマを見てるみたい…」理沙は赤い顔で彩也香に話し掛けた。彩也香も、
「そ、そうね。私もこの二人のこういうところ初めて見るから…わ、悪くはないんじゃない。」と赤い顔で答えた。
戸田はキョトンとして「水瀬先生って僕に気があるんじゃなかったの?」と呟いた。
佑哉は、終始苦笑いを浮かべていた。
直樹が泉の肩を抱いたまま「お疲れ様です。」と笑顔でもう一方の手を振った。
「…お疲れ様…。」
宮園が力無く答えて皆帰って行った。
「あ…の、直樹くん…何で…」
泉は真っ赤なまま直樹の方を見て言った。
「これで、十分牽制になったろ。」直樹は呟いた。そして肩から腕を離して泉の手を繋いだ。
「…これから、事情聴取だ。」直樹は泉をジロッと見て言った。
…やっぱり今橋先生のことだ。
私容疑者?何もしてないよ。
「直樹くんの部屋に行くの?」泉は聞いたが直樹は「いや…もともと今日は泊まりじゃねえだろ。」と答えた。
明日から旅行だからお泊まりはなしにしていた。
「ここからすぐ先に、前泉とミュージカル観た後寄った公園があるからそこに行こう。」と直樹が言った。
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