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寄り道の公園で
公園に着いた。今日もライトアップされて綺麗だった。だが前に寄った時よりも遅い時間だったので、人はほとんどいなかった。
直樹は更に公園の奥のベンチに泉と座った。
座った瞬間に直樹は泉にキスをした。キスはすぐに深くなった。
「……。」
しばらくキスが続きようやく直樹は顔を離した。
しかし泉の顔を見るとふっと息を付いて今度は彼女を抱きしめた。
「…長かった…やっと泉に触れる。」直樹が呟いた。
…直樹くん私もだよ。
泉もそっと直樹の背中に手を回した。
直樹は片方の手で泉の頭を撫でながら、
「店で何の話をしていたんだ?」と尋ねた。
直樹くん話していることとやっていることが真逆だよ…。事情聴取じゃないの?
「彩也香先生が先生の同棲と結婚の話をしていてその話を聞いていたの。」
「何で今橋先生がそれに関係あるんだ?」
「彩也香先生、今橋先生に色々相談していたみたい。」
「ふーん、確かにあの先生今橋先生がお気に入りだからな。面食いだし。」
…ほんと直樹くんはイケメンなのに対象外で助かったよ。
直樹は泉から身体を少し離して言った。
「じゃあ、何で店で中山先生俺の顔をチラチラ見てたんだ?」
あ、バレてたんだ。
「そ、それは明日私と直樹くんが旅行行く話をしたから。」
…こう言っとけば大丈夫かな?
「ふーん…でも旅行に行くぐらいの話で今橋先生泉にあんな顔…」
直樹はそう呟いて、泉の顔をじっと見た。
納得した顔ではなかったがフッと笑って泉の頬を撫でた。
「まあ、いっか、さっき牽制したし。…泉の顔見てるとどうでもよくなってくるしな。」
「俺も相当やられてるな」と言ってまた深いキスをした。
キスは長く続いた。
直樹は顔を離して泉の頬を撫でながら甘い顔で言った。
「このまま俺の部屋に連れて帰りてえな」
「直樹くん、私そうしてもいいよ。」
泉も直樹と一緒にいたかった。
「非常に魅力的な案なんだけど、間違いなく俺、泉を寝かさなくなるしな。」
直樹は「顔を見てるとダメだ」と言ってまた、泉を抱きしめた。
「そうすると旅行中泉が寝不足になって、俺が話してるのに寝ていて聞いてなくなる可能性があるな。」
「直樹くん、私それは今までしたことないよ。」泉は抱きしめられたまま赤くなって、言った。
直樹はまた身体を離して泉の両頬を挟みながらため息を付いて言った。
「いや、泉なら有り得る。只でさえたまに俺の話ボーッと考え事してて聞いてねえことあるからな。ディナー食いながら寝てるとか…うわっリアルに想像できるな。」
「直樹くん…ヒドイよ…」泉は呟いた。
直樹はそしてまた泉を抱きしめた。
泉の頭を撫でながら、
「やっぱり今夜は大人しく帰ろう。名残惜しいけどな。」と言った。
そうしてまた泉にキスをしたが「キリがねえ」と顔を離した。
直樹はベンチから立ち上がって泉の手も引いて立ち上がらせた。
「行こう、もう帰りはタクシーに乗ろう。」
「え?電車で帰るんじゃないの?」
「ああ、今夜はちゃんと寝た方がいいから。」
「そうだね。直樹くんに運転してもらうしね。」泉は申し訳なさそうに言った。
直樹は笑顔で泉の頭を撫でて言った。
「いや、俺は泉に万全の体調で行ってもらいたいからな。明日から行く旅行は付き合って一年になる旅行だし。」
直樹は「行こうか」と言って泉の手を繋いで歩き始めた。
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