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泉と直樹は手を繋いで歩きながら公園を出ようとしていた。
「去年は、この日は付き合ってなかったんだな…」
「でも二次会の後直樹くんに家まで送ってもらって、その流れでたまたま振替休日に会う約束をしたんだよね。」
泉は思い出して懐かしくなった。
その振替休日で、私直樹くんに告白されたんだった…。
「…俺、もともと振替休日に泉と会うつもりだったからな。」
「そうだったの?」
「…成り行きで遊園地に行った時に、俺泉とまた二人で遊びに行こうって言ったのに結局できなかったからな…」直樹はその後「まあ、あの人に奪われるのを阻止したのもあるけどな」と小さい声で呟いたが、それは考え事をしていた泉には聞こえなかった。
…あの時…私…
泉は立ち止まった。
「…どうした?」直樹が泉を見つめた。
「私、遊園地の後部屋に送って貰った時直樹くんに『好き』って言えば良かったなって、そうしたら運動会の時にはもう付き合ってたのになって。」
直樹はフッと笑った。
「そんなこと言ってたら俺の方が後悔山のごとしだ。…今もこうして付き合ってるんだから結果オーライじゃねえか。」
泉も直樹を見つめて笑顔で言った。
「そうだね。色々あったけど今日まで直樹くんとずっと一緒にいれたもんね。」
直樹はため息を付いて泉を見つめて言った。
「…その顔で言うのやめてくれねえかな。さっきからフェロモン垂れ流しで俺我慢の限界だから…。」
泉は顔が赤くなった。
直樹は諦めたように再び手を繋いで歩き始めて言った。
「…明日の旅行楽しみだな。」
「うん!」
「…頼むからちゃんと寝といてくれよ。」
「…うん。」
直樹くんやたら私の体調のことを心配するな。どうしたんだろ。
…でも、直樹くんはいつも優しいから…。
明日、同棲の話をきちんとしよう。
泉は直樹の横顔を笑顔で見つめながら彼と手を繋いで歩いて家路に向かったのだった。
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