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「…私、前、直樹くんのこと花火大会から好きになったって言ってたでしょ。」
「…そうだな。」
「同棲したいって考えてからね、私本当に直樹くんのことその時から好きだったのかもう一度考えたの。」
泉は直樹を真剣な顔で見つめた。
「直樹くん、初めて会った頃から私に優しかったし色々助けてくれたでしょ。話も聞いてくれて。直樹くんと話すの楽しかったし…。だから私その時直樹くんのこと好きになりかけてたの。ただの同期じゃなくて…。でも直樹くんに彼女さんがいたことがわかって…。
だから私はそれ以上どうすることもできなくて、それで私のこと好きだって言ってくれた人と付き合ったの。私も彼を好きになったのは本当だけど、でも私彼がいたのに直樹くんに頭を撫でられたり、手を繋いだりされるのは全然嫌じゃなくてむしろ嬉しかった。
…それって気付いてなかっただけで、やっぱり直樹くんのことが一番好きだったのかなって。だって私、自分から親しく話せる男の人は直樹くんだけだったし、触られたり見つめられたりしてドキドキするのも直樹くんだけだったし。」
直樹も泉の話を真剣な顔で聞いていた。
「…私、直樹くんも私のことは彼女さんと別れてから少しずつ意識してくれて、それで好きになってくれたのだと思ってたの。…でもそうじゃなくてもっと前から私のこと好きになってくれてたって知って、私、気付かなかったにも程があるなって。
私は直樹くんに彼女さんがいるからって自分の気持ちに蓋をして考えようとしなかったから、他の人にフラフラしたり、直樹くんの気持ちもちっとも考えなかったりしてそれは本当に申し訳なかったなって。
…だからね、私今度こそ直樹くんの力になりたいの。直樹くんのこと大好きでこれからもずっと好きだから。だから学校はかわっちゃうけど直樹くんとずっと一緒にいたいから同棲したい。」
直樹は、泉の話を真剣な顔で聞いていたが、いつもの優しい笑顔になった。
「…ありがとう。泉、泉も俺のこと結構前からそうやって想ってくれてたって話はすげえ嬉しいよ。俺も泉のことずっと好きだったからな。でもさ、昨日も言ったけど過去はもうかえられねえしどうしようもねえだろ。それより大事なのは付き合ってからだと思うんだ。」
直樹は、泉の頬を撫でて言った。
「泉と付き合って一回ひどい仲違いはしたけど…でも、それも乗り越えて今まできただろ。俺、泉がどれだけ俺のこと好きなのかは身に染みてわかっているよ。
…泉、俺の話もいつも優しく聞いてくれるよな。俺、愚痴んの好きじゃねえからそれっぽくなんねえように、そういえば学校で嫌なことあったなぐらいで話すことあるけど、それも自分がされたみたいに怒ったりしてさ。可愛くて和むんだよな。すっとんきょうなこと言って俺のこと笑かしたりもするし。俺、泉と話してると和むし癒されるんだよ。それは付き合う前からそうだったんだけど。
…泉が一途にさ、俺のために考えたり話したり、ドジになることは多いけどやってくれようとしたりしてることはよく伝わってるよ。だから、もともと俺の大好きな顔と中身のコがよく俺のこと好きになってくれたなって、奇跡だなってそれはずっと思ってる。俺は今日まで幸せだったよ。ありがとうな。」
…あれ?直樹くん、それって私のことタイプだったってこと?
泉は初めて知って驚いた。
直樹は泉の頬を撫でた手を下ろして真剣な顔になって言った。
「俺の気持ちも話したほうがいいな。…泉、…同棲は、なしだ。」
え?
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