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二人の幸せへの一歩
「…決めてたよ。」
「だから、家具屋さんに行ったりとか、貯金をしているかの話とか…」
直樹は笑顔で言った。
「ああ、家具屋は楽しかったな。その後行った市内巡りもな。」
「この間子どもの話も…」
「あれは、あの日指輪が見つかってテンションがあがっちまったからな。」
「え?フットサルの試合じゃなかったの?」
直樹は笑顔のまま、泉に優しくキスをして言った。
「泉チャンはほんと、騙されやすいからな…。俺が常にしっかりしてないと家庭が揺らぐな。」
「そうだったんだ…じゃああのもしずっと一緒に住んだらって話も…。」
「あれは、俺の頭の中は同棲ではなく、泉と結婚して家庭を築いていたらって想像して話していたな。…後、平日のシュミレーションは、まだ俺は修行不足だ。泉のフェロモンは最強だからな。…多分結婚したら平日も間違いなくスルだろうから、寝不足になっても勘弁してくれよな。」
直樹はそう言ってまた笑顔で泉の頬にキスをした。
…私、全然気付いてなかった。
泉は恥ずかしくなって赤い顔で直樹を見つめた。
直樹は、愛しそうに泉を見つめて頭を撫でて話した。
「結婚したら、異動はどちらかがしねえといけないから、よく相談して決めよう。結婚の詳しい話も。これから作る家庭の話もたくさん話して決めような。でも俺、ワクワクするんだ。泉となら楽しいことだらけな気がしてさ。」
そして直樹は、泉の手を取り左手の薬指にはめている指輪にキスして「泉、愛してるよ。」と言った。
泉はベットの上で正座に座り直して直樹に聞いた。
「直樹くん、ところで私のことずっと前から好きだって言ってくれたでしょ。あれ、いつからなの?」
直樹は照れくさそうな顔をして言った。
「俺も、自分の気持ちがわかってなかったんだよ。人を好きになることに関して馬鹿にも程があったんだ。でも結婚を決めてハッキリわかった。泉は気になるコじゃなくてずっと前から好きなコだったんだって。じゃあ、いつからかって考えたら、
…水瀬先生に俺の名字を間違えて呼ばれた時かな…」
それって…
泉は驚いて直樹の顔を見つめた。
直樹は優しくとびきり甘い笑顔で言った。
「俺、君によろしくと言われて、俺に向けられたその笑顔に一目惚れした。それからずっと君のことが好きだ。」
泉は、嬉しさのあまり涙がポロっと出た。
そして直樹に抱きついた。
…私の一番大好きな先生。私もあなたが私のことを好きでいてくれたことに負けないぐらい、私もあなたを一生愛していくね。
泉は輝くばかりの、直樹の大好きな笑顔で彼にキスをしたのだった。
ー先生の恋 完ー
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