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「ほら私、小テストがあったその前の授業を休んじゃったので。だから、聞いてなくて」
時々、不定期で行われる小テスト。漢字やことわざに四字熟語など、だいたいは暗記ものが多い。だから、範囲を覚えられれば比較的満点は取りやすい。
訝しげな表情で、白井先生が口を開く。
「連絡は? 欠席者にはいくようになっているはずだろう」
「もちろん来ました。でも、現代文の小テストがあるってところは抜けてしまっていたみたいで」
不定期ながら、そろそろ小テストが行われるんじゃないかという予感は私の中であった。ただ、私にはそれを気軽に聞ける友達がいない。もしクラスに友達がいれば、黙っていてもその情報は入ってきそうなものなのに。
そんな自分が不甲斐なく恥ずかしくて、いたたまれない気持ちになる。
「連絡ミスか、すまない」
しかし、白井先生は苦い顔でぼそりと言った。
「どうして白井先生が謝るんですか? 先生は何も悪くないです」
むしろそれを言うなら、そんな気がしたのに確認しなかった私の方に非がある。
「いや、せっかく調子のよかった三杉の点数を下げてしまう結果になって、申し訳ないとしか」
白井先生の口調は珍しく歯切れが悪い。私がそんな風にさせてしまっているのだと思ったら、ますます申し訳なくなってきた。
「だが、それなら別に教えなくても、三杉は大丈夫そうだな」
「えっ、いや、それは……」
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