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芦屋道満子は不意に何かを思いついたらしく、おもむろに机の上に僕の書いた御札を置いた。
「聡明くん。御札は十和田くんに見せればよかったんですよね?」
「ん? ああ、そうだね。正確には額のオニノメに見せればいいんだけど、宿主の目と同じものを見る習性があるから、十和田に見せれば間違いなく効くはずなんだ」
「それじゃあ、これを、こうして……」
「ん? スマホを取り出して何を……あっ!」
カシャ!
芦屋道満子はスマホのカメラで僕の御札を撮影した。
「お、おい。何やってるんだ!?」
「ええと、余分なところをトリミングして、画像をもう少し明るくして、と」
「だから何やってるんだよ。説明してくれ」
「今、十和田くんに送るところです」
「お、送る?」
「ラインで」
「いやいやいや!」
「だってこの御札を見せればいいわけですよね?」
「そういう話じゃない!」
僕は芦屋道満子からスマホを取り上げようとした。
「御札をデジタルデータにして送るなんて、伝統ある陰陽道への冒涜だ! 御札というのは現物として存在するからこそ霊験があらたかなんだ。効果があるわけない!」
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