安倍聡明くんはスマホが使えない

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「そんなのやってみないとわからないじゃないですか。減るものでもあるまいし。むしろデジタルだから増えるわけですし」 「増やすなっての!」 「デジタルよりアナログの方がいいってことですか? そんなこと言ってると時代に取り残されちゃいますよ」  芦屋道満子は僕よりも運動神経がいい。僕が必死にスマホを奪おうとしても、紙一重でかわされていく。結局、御札画像はその間に送信が完了してしまった。 「く、くそっ。なんてことしてくれたんだ。罰当たりめ。これだから君のような奴は嫌なんだ。ああ、ご先祖さまに顔向けができない」 「まあまあ。そんなに悲観的にならなくても。案外、安倍晴明もグッドアイディア、って讃えてくれてるかもですよ」 「ご先祖さまはそんな横文字は使わない!」 「あ、十和田くんが見たようです」  芦屋道満子はスマホを僕に見せてくれた。送信された御札の画像の下に「既読」の文字がついていた。少しすると十和田からのメッセージが送られてきた。
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