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「ケータイで?」
「スマホです。妖魔に取り憑かれたと思わしき人を動画で撮ってきたんです。本当はその場で送りたかったんですけど、まだ聡明くんとはラインの交換してませんでしたよね? ファイル送るので教えてください」
「断る」
「どうしてですか?」
「SMSだかなんだか知らないけど、僕はそういったチャラついたものはやらない主義なんだ」
「もしかしてSNSって言いたかったんじゃないですか? SMSはショートメッセージサービスの略ですよ」
「と、とにかく陰陽道に反するんだ」
「あー。そういえば聡明くんって電子機器に疎かったですよね。この前なんて先生からプリントをコピーするように頼まれたのに紙を詰まらせて四苦八苦してましたもんね」
忌まわしい記憶を芦屋道満子にほじくり返され僕は苦悶した。
確かにコピー機を上手く使えなかったのは事実だ。手伝ってもらって感謝している。トラブルシューターという肩書も伊達ではないと感心した。
しかしその後の悪戯は今でも許していない。芦屋道満子は僕の式神を面白がってコピー機にかけたのだ。
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