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「低級な悪霊だったんですよね? だったら御札作りもそれに合わせてスピーディーにしないと」
「低級だろうと上位だろうと僕は御札作りで手は抜かない。それが僕の陰陽道なんだ」
口喧嘩になってしまった。しかしここでやりあっていても何も解決しないことはお互いによくわかっていた。
「……とりあえず学校に戻ってこれないか、十和田くんにかけあってみます」
芦屋道満子はスマホを取り出して耳に当てた。たぶんライン通話とかいうやつだろう。
「あっ、十和田くん? わたし、芦屋。悪いんだけど今から学校に戻ってこれない? え、vtuberの配信? いや、そんなことよりももっと大切なことなんだけど――って、切られちゃった」
「怒りっぽくなるのがオニノメの特徴だからな」
「どうしよう。このままじゃ十和田くんは明日までずっと怪異に取り憑かれたままってことですよね?」
「明日は祝日だから明後日になるね」
「二日間も!?」
トラブルシューターを名乗る芦屋道満子としては由々しき事態のようだった。
芦屋道満子は書道室をぐるぐると歩き回った。
「……って、あれ?」
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