2.川端夫妻

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何回か会ううちに二人は急接近した。 そしてお互いの夢は『2人の理想をデザインした家を建てること』に決めて話は盛り上がり、結婚は早かった。 亜季の誕生日、翔は夜景のきれいなオーロラランドの観覧車で言った。 「君についた火は消せないよ、結婚して下さい」 翔のプロポーズに亜季は涙した。     * しかし2年後・・・ 今すぐ子供を産みたい、そんな翔の発言から、2人の間に溝ができた。夜の営みは、亜季にとって避けたいものになっていた。翔は翔で子作りのために、と迫ったことがあり、断られてひどく傷ついた。 翔は好きなフットサルやオンラインゲームに毎日夢中になって憂さを晴らした。亜季はテレワークで遅くまでパソコンに集中した。会話はほとんどなくなってしまった。 「お互い傷つけあうことはしたくない。離れて暮らさないか?」と提案したのは翔だった。マイホーム計画は終わりを迎えた。 「そうね、お互い冷静になって、考えてみたほうがいいわね」亜季が言った。 結局、翔が家を出る形で亜季はひとり暮らしを始めた。半年後、離婚届が亜季のもとへ送られてきた。『好きな子ができた』とのこと。あっけない結末に笑いがこみあげた。 (30歳にしてひとりか)正直、焦ったし困惑したが、修復は不可能のように見え、判を押した。     *  亜季は仕事に没頭した。あらゆるコンペに参加するものの惜敗が続いた。大阪万博関連の競争入札はことごとく大手に持って行かれた。亜季は、才能の限界を感じ始めていた。同時に会社での居心地も悪くなっていった。     
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