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そこでギンガが立ち上がる。
『そうだな。ウルガの言うとおりだ。レイガが何者であっても俺達が家族であることに変わりはない。それにその力は心強いし、豊富な知識も一族にとってこれまでにない程プラスになるだろう』
この歳で一族のことまで思慮するとは……。間違いなくギンガは上に立つ者の器を持ち合わせている。
他の皆も同様に俺を受け入れてくれた。さすが父と母の血を引く子達だ。
「ありがとな、皆」
話がついたところで、タイガのお腹が盛大に鳴った。
『あ〜そろそろ僕のお腹は限界のようだよ』
確かにあれだけ動いた後で、間近に肉が転がっていれば腹の虫も動き出す。
『狩って来いとは言われたけど、食べるなとは言われてない。うん、問題ないな』
そこにゼツガが冷静に一声。顔は真面目なのにヨダレは垂れ流しだったので、それにはつい笑ってしまった。とはいえ俺も腹ペコでその気持ちは非常にわかる。
なので……。
「食っちまうか!」
『ひゃっほーい!』
『やったー!』
『しょうがないな。でももう一頭狩って持って帰るぞ』
誰一人として止める者はおらず、俺達は大猪に夢中でかぶりついた。
不思議なことに、皆で食べると先程喰った時よりも数倍美味い。淡白な味だがかなりイケている。
そして、あっという間にこの巨体を喰らい尽くしてしまった。当然腹はパンパンだ。
その後――少し食休みして再び大猪狩りに出た俺達は、直ぐに次の獲物を見つけ今度は苦戦することなく狩りに成功した。先程よりややサイズは劣るものの、中々の大きさだったにもかかわらずだ。
プラチナウルフは戦えば戦う程強くなると聞いていたが、想像以上だ。
こうして無事試練を乗り越えた俺達は、狩った獲物を引き摺りながら住処へと戻った。俺は武器として加工する事を目論み、一体目の大きな牙も持ち帰ってきた。
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