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その問いでようやく頭が回りだしたようで、少しの間を置いて頭を縦にブンブン振って頷いていた。
完全に戦いを終えたのを確認した皆は、今度こそと、やや警戒心を残しながらも力を緩め地面に伏せた。ギリギリの戦いで、皆その小さい身体は傷だらけだ。だが誰一人欠けることなく切り抜けた。
「皆、お疲れさん」
俺はそう声を掛け、近くにいるライガに自分の血液を垂らした。これは緊急用回復薬――吸収した特性【治癒細胞】によるものだ。
戦いの中、自分の身体と大猪で効果は検証済であり、少しグロいかもしれないがその効果は折り紙付きだ。大猪には戦況に影響の無い範囲で試していたので問題はない……。まあ敢えて皆には言わないが。
『な、な、何これ!? 傷が治ってきてる!』
ライガは驚愕していた。まあ当然の反応だろう。続けて他の皆にも同様に回復処置を施し、概ね傷が癒えてきたところで俺はこの能力について説明した。併せて、前世から今に至る経緯も。
元より皆にこのことを打ち明けるつもりでいた。そうでないと家族として間近で過ごすには無理があるからだ。
因みに、父と母には既に能力と俺の全てを説明している。それでも一切拒絶することなく、引き続き子として受け入れてくれているのだから感謝しかない。
話を聞いて皆が口ごもる中、ウルガが俺に近づいてきた。
『レイガ……大変だったんだね……。でも安心して。プラチナウルフは絶対に家族を裏切らない。僕が、僕達がレイガの力になってあげるから』
真っ直ぐ俺の目を見てそう言うウルガ。正直これには驚いた。兄弟の中でも特に甘えん坊で、普段自分の意思を主張することが少ないタイプだったからだ。
『皆も同じ想いの筈だよ。ね、ギンガ、タイガ、ライガ、ゼツガ』
ウルガは皆を見渡した。
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