千年後の世界

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 俺は一直線に突っ込み、前宙しながら力を乗せた踵落としを放った。  しかしヴァーゴは、いとも簡単にそれを額で受け止めた。敢えて躱すことはせず、力の差を見せつけるかのように平然とやってのける。  それならば……。  脚を入れ替え、次は後ろ回し蹴りへとつなげた。それに対し、先程と同じように額で受け止めにきたヴァーゴ。だが、結果は異なった。  強烈な一撃が鈍い音を響かせ、ヴァーゴの頭部にダメージを負わせた。  【石化】で硬化した足先が【強脚力】により凄まじい威力でぶつけられたのだ。さすがに無傷とはいかない。  そこへ間髪入れず蹴りを放とうとしたが、ヴァーゴが受けの姿勢を解き、強靭な前足で俺を激しく振り払った。  その一撃は重たく、側方へと盛大に吹き飛ばされてしまった。 『調子に乗るなよ、人間が』  額から血を流しながらそう言い放ったヴァーゴだが、思いがけずダメージを受けた事に驚きを隠せない様子だ。さらに、俺が無傷で起き上がったのを確認すると、(まなこ)をピクつかせながら舌打ちをした。  ウルフの強靭さに加え、【外骨格】と【タフな肉体】の効果でダメージを大幅軽減させたのだ。 『凄いよ、レイガ!』   この状況にウルガから感嘆の声があがった。一方、ヴァーゴの子分達は動揺を見せていた。  周囲の反応をよそに、俺とヴァーゴは動き出す。一気に距離を詰め、双方が同時に攻撃を仕掛けた。俺は強化した爪で肩口から袈裟がけに切り裂き、ヴァーゴは腕へと喰らいついた。  この衝突で周囲に血飛沫が舞った。  【外骨格】【タフな肉体】【石化】を同時使用したにもかかわらず牙が腕へと食い込んだ。やはりウルフの牙は途轍もなく鋭い。特性が無ければ間違いなく食いちぎられていただろう。  しかし、いまだ相当な力が込め続けられていることから察するに、加減を忘れる程に俺の攻撃も効いたようだ。
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